Scxxxers is...

散文その他。全て読み切りです。

18番目

最寄りのコンビニの店員が怖い。
50歳前くらいの多分バイトのおばちゃんやねんけど。いや、無愛想な店員とか見た目いかついやつとかそんなんやったらなんぼでもおるで?ちゃうねんそいつはただただ怖いねん。なんかなにが気にいらんことあるんかしらんけどずっと眉間に皺寄せて対応する声もぼそぼそちっちゃいし、なんか今日この人嫌なことあったんかなー大変やなー長時間の立ち仕事お疲れ様ですなんて思って左胸んとこの名札みたら顔写真の眉間にもめっちゃ皺寄せてておまえいっつもそうなんかーい‼︎ってなってほんま、
あんな感じにされたらなんかこっちも思わず萎縮してレジで客としての充分なパフォーマンスも発揮できひんやん?なんかもう商品出したあとにレジの横にちょこんと置いてあるイチゴ大福買いたいなとか思ってもそんなん絶対無理なあの感じ。ましてやPontaカードとか出せる雰囲気ゼロやからな。
いや、なんかめっちゃうまいラーメン屋の頑固親父とかやったらわかるで?おれ自身はあんまそういうとこ興味ないから行かへんけど、食事中は携帯の禁止だのなんやったら私語も禁止とかそんなこと言われても、あーそらこんな美味しいコクのあるスープとこしのある麺、ようわからんけどそらちょっと気難しいくらいの人じゃないとでけへんわーって。理屈はなんとなくわかる。ちゃうやんか、別に普通のもんを普通に売ってるだけやんか?それこそがコンビニの良いところであってそれ以上でも以下でもないからここまで定着してきたわけやんコンビニエンスストアー。全然こっちは根拠ないやんか?もはやシリアルキラーみたいなもんやからな。『ノーカントリー』のハビエル・バルデム。あの絶対的な存在感。ちょっとピーチゼリー買うだけで体験できるあのやるかやられるか感。
そもそもその店に置いてあるもんもいまいち納得できひん。やっぱりおんなじコンビニでもなんか店長のセンスって出るやん?そこは特にアイスコーナーのセレクトがダサすぎでほんまめっちゃ保守的やねんふつーのアイスしか置いてない、というかとにかくチョイスがダサい。いっつもめっちゃ悩んでチョコモナカジャンボしか買うしかない状況に追い込まれるんよな。もうちょい考えてくれよっていつも思う。そのくせカップ麺コーナー覗いたらぺヤングの普通のやつ外してイカスミ味置いてるからな。いやいやちゃうやん?イカスミ味置く前にプレーン置けよ。なんかこういうのはほんま気持ち悪い。プレーン味があったからイカスミ味が生まれたわけやろ?ほんならまずプレーン味置いてこそその場が成立するわけやん。ほんでそっからその横にイカスミ味置かんと。そんなもん知らん人がみたらイカスミ味がプレーンなんやって思う人も現れるかも知れへん。そう思うとなんか気付いたおれも心苦しいし、決してお店側にとってもプラスにはならへんと思うねんな。そういう意味でもプレーン外してイカスミだけ置くのは駄目や思うねん。あとなんかその辺一帯の磁場が狂いそうやんか。見た瞬間、平行感覚なくす的な?いやいやわかるで売り場のスペース的に仕方ないんですって言うんやろ?でもそれやったらプレーンだけ置いたらええやんイカスミのほうが売れるんかも知らんけどやっぱりそこはまず横の金ちゃんラーメン外してでもプレーン置くべきやと思うねん。やっぱりイカスミがどんだけ売れてても、それが売り上げに繋がっててもさ、いや、知らんで?売れてるかは知らんけど例えばイカスミのが売れてるという確固たるデータがあったとしてもやっぱりまずは大黒柱のプレーンを尊重する、そういう姿勢があってもいいと思うねん。まじプレーン外してイカスミだけ置くのはあかんと思う。ぱっと見、エッシャーの絵見たみたいになる。まあどっちも買わへんけど。   fin

17番目

Tが自室でソファに凭れて、少年漫画雑誌を読みながら、『カールスティック』を食べていると、髪をドレッドに編み上げた友人のMがノックもなく入ってきた。Mは勢いよく玄関を入ったものの、どう振る舞っていいか判らず、数秒間、そこに沈黙のまま立ち尽くした後、取り繕うように「こんにちは」と、言った。『カールスティック』を咥えたまま、少しばかり唖然としていたTもその奇妙な空気をかき消すように「これは親友のM君、こんにちは!」と、言ったが、三日ほど人と接していないTは自分が予想以上に大きな声を出してしまったことに気が付いて、赤面、またしても沈黙が7畳のワンルームを包む。Mはそんな様子のTを慮って、なにか言わなければと思い、『カールスティック』を指さして、「それはなにを食べているのですか?」と、興味もないのに聞いてみた。Tは水を得た魚のように、顔を輝かせて、「カールスティックですよ!」と、答えたがその次の言葉が見つからない。おざなりな質問とはいえ、とりあえず口火さえ切れば、会話のストロークが爆発的に絡み合ってこの息苦しい緊迫感も消え、自然と用件が切り出せると考えていたMは、自分の認識が甘かったことを知る。Mは仕方がないので、その場に腰を降ろしながら「実は相談があるのですよ」と、いきなり本題に持って行くことにした。Tは「と、いうと?」と大袈裟にも見える動作でMを見直した。そして、Mは話し始めるのだった。
「最近彼女が出来たのですが。すごくいい子なのですよ。バイト先で知り合ったのですけれどもね。すごくいい子なのですが、実はこの子がわけの判らない宗教に凝ってまして・・・。かなり、そこの教祖様に傾倒しているようで・・・・。それで、この前初めて彼女の部屋に行った時なんて、その教祖様とかいう人のティーシャツ着ていたり、壁に特大サイズのポスター貼っていたり、一緒にお祈りしようと言われるし、本当に困りましたよ。いい子なのだけれどなあ」
TはMの、白い衣服に身を包んで顔を引きつらせている(恐らく笑っているのだろう)胡散臭い中年男のイラストの入ったティーシャツに目を落とした。その視線に気付いたのか、ちょっとはにかんだような表情でMは、「あ、これは彼女から貰ったのです。彼女が着ていたティーシャツと同じものなのですけれど。Tさんに見て貰おうと思って着て来ました。どうですかね?ジャストサイズで着れば、まあ、デザイン的にもアリかなって感じはしているのですが。……僕はね、それが例え悪徳宗教団体のものでも良い物は認めていきますよ。法外なお布施を要求されるとか、軍隊を編成しているとか、確かにあそこは怪しい噂の耐えない団体ですけれどもね。現在の日本では極端な話、犯罪者の作品や表現は評価しないというのが概ねの世論ですけれども。そんな事言っていたら日本はどんどん他の国から置いてきぼりを食らっちゃうんです。もう一度言います。このティーシャツはジャストサイズで着れば、まあ、デザイン的にもアリかなって感じがしますとも!」
と、身振り大きく力説するMだが全く持ってナシなデザインのティーシャツがその全てを台無しにしている。とりあえずTは、「なるほど・・・」と腕を組んで考えている振りをして、置いてある少年漫画雑誌の表紙に載っているキャラクターの数を数えていた。七人いた。まだまだ、Mは話していたがTは頷きながらも悉く違うことを考えていた。そして、結果、急にボーリングがしたくなった。頭の中で、当初は全てのフレームでストライクを弾き出して高得点を連発して行く自分自身の姿を想像していたが、それがいつの間にか、すごい速さで迫って来る真っ白なピンを拳で粉砕していくイメージに変わって行った。ボクサーのような構えを取り、やや腰落としパンチを繰り出す瞬間は腕からじゃなく肩から拳を出して対象物に目掛けて回転させる。ピンは陶器のような高音をたてて砕け散っていく。Tはその音に言い知れぬ充実感を感じる。やはり、この「音」が大事なのだ。クイズ番組で回答者が正解したら派手な正解音とも言うべき音が鳴り響く。あの演出が無ければ決して誰も問題に答えないし、誰も問題を出題しないし、誰もテレビを見ない。そうだろう?と、『カールスティック』を片手にソファに座ったままのTのイメージしたTは拳を突き出しながら考える。その間も絶対に手は休めない。すごい速さで飛んで来るピンからは絶対に目を離さずに、ひたすら基本を忠実に守り、フォームを崩さずに、近付いて来たら打つ(左パンチ)。来たら打つ(右パンチ)。来たら打つ(左パンチ)。来たら打つ(右パンチ)。来たら打つ(左パンチ)・・・・・。
熱心に話し続けるMは、そんなTのあらぬ思考の方向に気付くこともなく、「そんな感じですかねえ、Tさん」と、話を一旦、締めくくった。Tは急に自分の名前を呼ばれて、ビクッとして、その驚きようをしっかりとMに目撃されてしまった。きっと、全く話を聞いていなかったのがばれてしまったに違いない。MはじっとTを見ている。Tは自分の前に大きな困難が立ちはだかったのを感じた。一瞬、「謝罪」の二文字が脳裏を掠めた。しかし、Tは考え直す。ここで挫けてはいけない。この大きな困難という山を乗り越えるのだ。急な坂道を一歩一歩登っていくのだ。
そして、背中を丸めてソファに座っていたTは、ゆっくりと立ち上がった。
西日がベランダ越しに部屋の中を照らし始めた。 fln

16番目

なんでも物買ったらすぐ開けたい派。なんかDVDの外装のフィルムとかさ。べつに今開けんでもええやん?再生機は家やん?でもなんか帰りの電車ん中とかですぐ開けてしまうんよな。自分でもよくわからんねんけどあれなんなんやろ。一刻も早く自分のものにしたいという心理のあらわれなんかな。猛々しいオスとしての本能かなとも思う。
で、
今女の友人に物とか買ったらすぐ開けたくなる派?ってメールしたら、
物による派。買った服はあんまりすぐ着ない派。トップスはオフショルダーでこなれ感を演出。
って返ってきたから聞いてないことをすぐに言いたくなる派なんやなって送って、おれ。
まあこういう風に人々が交わす世の中のコミュニケーションの80パーくらいは聞いてもないことを言いあって日々暮らしてるわけやん。おれも結構そーゆーとこあるし。テレビは見ないんですーとか、オリコンミュージックは興味ありませーんとか、生牡蠣食べて死にかけたとか、みんな常に心の中では「聞ーてへんから><」で渦巻いてるわけやんか。
もう「聞ーてへんから><」って言わせたもん勝ちみたいな風潮すらあるこの現代社会。
でもでもそんな「聞ーてへんから社会」に於いても矢張りずば抜けたヤツはおって、生え抜きのスラッガーみたいなヤツはおって、そいつは「聞ーてへんから」の一個上の階級の「知らんがな><」で会話がほぼ成立する。なにが寂しいんか知らんけど常に自分からなにかを発信しとかなあかんらしく、それも別にゆーたらええのに例えばそこらへんのわけ分からんラーメン屋入ってラーメン頼んで一口食って、美味しくなかったんやろな、まず一回首かしげるから。うざいからほっとくとなんか首傾げすぎてヘッドバンキングみたいになるからいじったらなあかんし。ほんでこれが例えばうまかったら大人しいかってゆーたらそうでもなくて、一回ある地方でカツオの塩タタキっていうのん食べに行こうゆーて行ってそれ初めに食べてうまいなーゆーて酒飲んで他も食べて店出てもうあれはやばかったーうまかったーってずっと言いながら帰り道コンビニ入って、まあ当然それも聞いてないねんけど、
「俺ね!コンビニ来たらいつもやったらなんかツマミみたいなん買って帰るんすけど!カツオの余韻楽しみたいからやめときますわあ^^」
カツオのあと5品くらい食ってましたやんっっっ。
要はなにをさせてもうるさいし、あとメールの着信音ね、メールの音なるたびに絶対どんな時でも「ぁいよー!」ってゆーから。
ピロロン! 「ぁいよー!えーーと・・・ヤフーのニュースか」ずっと。
これのリフレインがほんまボディーブローのように効いてくるんよな。ほんまいらつくから(笑)しかもメールほぼヤフーニュースやし!!!!
たまにこいつ今日は静かやなーあんま喋らへんなー大丈夫かなー??って思ってぱってそいつ見たら大きく『感謝!』って書いてあるTシャツ着てるからな。ほんまいろんなポイントから攻撃仕掛けてきよる。
あと、なんか知らんけど一か月くらいずっと腰痛い腰痛いゆーてるわ。 fin

15番目

おれは小さなマンションの1階に住んでいるのだが、隣は長らく空き部屋で生活音などに気を遣うこともなく気楽に生活していたのだけれど、この度、あまりにも入居者が入らないことに管理人が業を煮やして建築会社に貸すという暴挙に出たようですっかりお隣さんは事務所になってしまい、表札も出していないので時々、面接にでも来たのか笑顔の知らないおっさんが間違って「失礼しまーす、××建設会社はこちらでしょうか?」と言いながらこの部屋に元気良く上がりこもうとするのをおれが(CD聴きながら恥ずかしいダンスとかしてるのを一時中断して)、いちいちナビせねばならず気を緩めることはできない。玄関の鍵は閉めたくないのだ。
ふと、テレビの電源を入れても、NHKとショッピングチャンネル(?)しか映らない仕様であることを思い出しリモコンをそっと、某デザイナー渾身の作品といわれているポップなカラーリングが特徴のリビングテーブルの上に置く。傷がつかないようにそっと。赤子を寝かしつけるようにそっと。おれはくそったれリビングテーブルの上にそれを置くんだ。

そして、今日もロードワークに出掛ける
(余談だが、おれは「走る」ということについてひとつ問題を抱えている。普通なら或る程度ランニングすれば、脳下垂体から一種の麻薬成分であるエンドルフィンなどの物質が分泌されて人間の感じる痛みやストレスをやわらげる作用に拠って一時気持ちよく走れるようになるという俗に<ランナーズ・ハイ>または<セカンド・ウィンド>と呼ばれている現象が体に起こる筈なのだが、おれにはそれがないことがつい先日判明したのだった。幾ら走っても息を切らしても疲労感が溜まるばかりで昂揚感など湧き出て来ないのだ。話に聞けば、それは途轍もない快感を齎してくれるという。同じペースで20分から30分ほど走っていると、或る刹那、頭の中が真っ白になり足の先や手の先など体の末端から中心へと心地良い電流のようなものがはしり体中に超人的な力が漲ってどんな素敵な夢でも叶いそうな気がして自分がそこそこスピードの出る軽自動車になったような感覚を覚えて最後には自然に目から涙が湧き出てくることもあるのだという。よくジャージ姿で泣きながら我武者羅に走っているランナーがいるが、それはその体験の真っ只中にいるのだと、<ランナーズ・ハイ>または<セカンド・ウィンド>に造詣の深い外国人の友人が約半分を日本語で残りの半分をどこかの国の言葉で言っていた。なので、一部語弊があるかも知れない。が、それを聞いた時は憧憬の念で愕然として次に少し切ない気分になり挫折も考えた。けれどもけれどやっぱりおれは走り続けようと思う。<ランナーズ・ハイ>または<セカンド・ウィンド>なんて所詮ちょっとしたオプションに過ぎないのだと自分に言い聞かせる。必死に肺に酸素を送り込みながら、筋肉の疲労にも負けず、泥塗れになりながら、ただ前に進むことだけ考えて、一生懸命走って行こうと思う次第だ)。 おれはゆっくりと玄関の扉を開けた。  fin

14番目

深夜、軽く食事を取った後、近くのツタヤに行った。
狭い店内は相変わらず空調は全く効いてへんし、40歳をひとつふたつ過ぎてるんやろなって女とどう見ても高校生にしか見えへん少年が入り口付近で絡まりあっているし、隅っこの方ではニューエラーのキャップ被った若者たちがへらへらとお茶っ葉(だよな??)の入った袋をやり取りしているし、サングラス掛けた派手な色合いのオーバーサイズのスウェットの上下を着た男がなぜか片手に金属バットをもったまま(草野球の帰り…かな)『アンダーワールド2レボリューション』のDVDパッケージに見入ってて動かへんし。

いや、ちょっと前から店内のレイアウトが変わったのは知っててん。なんか新作が以前より前面に出てきた感じの。ふと、カラックスって監督の映画でさ『汚れた血』ってのがあって青春ものになるんかなそれ見直したくなってさ、というのもツタヤには良品発掘ってコーナーというものが存在しててツタヤHPによると、
《過去の評価や知名度ににとらわれず大人が本当に楽しめる作品だけを集めた発掘良品》
まあそんなん、そのラインナップに汚れた血あってさ、よし今度借りようってなって(何故かその時は借りひんのよな)、でその今度が今回やってんけど。あーレイアウト変わってんなあ良品発掘コーナーどこなんやろ。店員に良品発掘コーナーどこに移動しました?ってきいたら店員忙しそうに「いやーなくなっちゃったんですよ、本部の指示で…」ってなんかごにょごにょ言いながらレジ混んでたからコメツキバッタみたいに会釈しながら行ってもて、じゃあきっと今までの発掘良品はそれぞれのインデックスに収まってるんやなって思って入口近くの検索機行って「よごれたち」って検索したら在庫ばっちりあって、あったんはええけどただ場所は店員にお尋ねくださいて機械に出てる。けど店員は半額クーポンデイのための客を捌くのに忙しく、わざわざ列に並ぶんも嫌やったからしゃーない自分で探そう再び売り場に戻って、
で、
汚れた血の内容からどう考えてもドラマコーナー或いはヒューマンコーナーやろと思いコメディーコーナー恋愛ものコーナーホラーコーナーを横切りたどりついて汚れた血の「ヨ」のインデックスを見てもない。あれ…ないやんか、けどおれはすぐに持ち前の機転を利かせてずばぬけた推理力を発揮して、あーさては「汚れた」を「けがれた」って読んだんやなーむずかしく考えすぎて間違うパターンのやつねー店員さんったらお茶目やなーてへへってなりながら、「ケ」のとこをみたけどいっこもない!…どういうことやねんほんまなんやねん全然ないやんっでも待てよそうや普段からよくよく考えたらこの店たまに検討外れなジャンル分けしてるんやった!そう思いたち恋愛コーナーとコメディーコーナーを探しに探したけど成果なし、うーん…はっはーん題名か?おまえら題名だけで判断しとるんやろ?汚れた血ってことで内容も見んとスプラッターホラーみたいなんやと思ってるんやん。あんなゾンビやこんなゾンビが出てきてわちゃわちゃするやつやと思ってるんやろーーーわかるわかる見てなかったらおれもそう思うかも知れへん^^でもじつは違うねんでーー?^^ってホラーコーナー探してもないがな!!!
もう最後のほうわけわからんよーなって汚れた血の「チ」まで探したけど当然見つからず、はは、全然見つからんから諦めてとりあえず長蛇の列に並んで「汚れた血検索したらヒットしたからめっちゃ探したんですけど場所わかりませんでした><」ってゆーて少々お待ちください言われて待ってたら「今ありません」はあああああああ?いやいやいやありませんやあらへん機械があるゆーてるやん?「不具合です」まてまてmてこの前まであったやんかどっしりと棚に鎮座されておられましたやんか!「良品発掘コーナーを取りやめた際にほとんどの作品も返した」うおおおおおってなってとりあえず『ビバリーヒルズチワワ2』借りたけどこれいつ見るねん。  fin

13番目

マキノはただ一人暮らしのアパートにマユズミが来るというので、吃驚させようと思いつき、自分は隠れて部屋の中を無人のように装って(勿論、部屋のカギは開けていたが)、部屋に入ってきたところを罵声を浴びせてマユズミを混乱させようとして、それは見事に上手くいった。いや、上手く行き過ぎたというべきかも知れない。マユズミは吃驚しすぎて、一瞬、畳の上でじたばたした後足を滑らせて、転倒、その際、ちゃぶ台の角に頭部を激突させて、マキノが今まで聞いたどんな音よりもシュールな衝撃音をたてて、頭を抱え込んでのたうち回った。何かわけの分からないことを叫びながら、そして、頭部からは噴水のように血を噴き出しながら部屋の中を所狭しとごろごろ転げ回っている。マキノは焦った。ちょっとした出来心がこのような事態になり、異常なほどの焦燥感が彼を襲い、身動きが取れなくなっていた。マキノは唯、少しウィットに富んだ日常をマユズミと共に分かち合いたかっただけなのだ。一緒に過ごして来た唯一親友と呼べる彼とちょっとした悪戯で笑い合いたかったのだ。そして、その後、缶ビールを冷蔵庫から出して一つをマユズミに放る。好きな映画や音楽の話を夜が明けるまで語り明かす筈だった。いつもと何の変わりもなく・・・。マキノは自分の体が脱力して行くのを感じた。それに反して、マキノの思考はあらぬ方向へ駆け抜けていく。
彼は高校時代、バスケットボール部に所属していた。長身ではなかったものの、その俊足を買われ、1年の秋にはレギュラー入りすることが出来た。彼はますます自分の全ての情熱をバスケットボールに傾けた。彼は誰よりもバスケットボール、そして、バスケットボール部を愛していた。夜はバスケットボールを抱えて眠る生活。勿論、順調な道のりではなかった。地獄のような練習。そして、超えられない壁。幾度も彼は挫けそうになった。そんな時励ましあった仲間たち。支えてくれたガールフレンド。そして、コーチの存在。マキノはコーチに絶大な信頼を置いていた。コーチは、部員たちをいつだって、「選手」としてだけではなく、「人間」として扱ってくれた。時には竹刀で骨が折れるほど殴られることや用具置き場に一日中閉じ込められたこともあった。全裸で校庭を走らされたこともあった。しかし、それは愛情に溢れた仕置きなのだと、マキノは断言できる。コーチの人格は尊敬に値するのだ、と。そして、コーチは自分が学生時代、成し得なかったインターハイ出場をマキノたちに託していたのだ。マキノはその夢をなんとしてでも成し遂げたかった。自分のため、仲間のため、そして、コーチのために・・・。
残念ながら高校最後の試合である地区大会を二回戦で負けてしまった後コーチはマキノら3年生のみを集めた。そこにはあの厳しく鋭い目を光らせているコーチはどこにもいなかった。とても穏やかで控えめな笑顔を湛えながら、一言だけ呟くように言った。「3年間おつかれさん。そして、ありがとう」。
コーチが日頃、口癖のように言っていた言葉が頭をよぎる。それはバスケットボールを辞めた今でも深く心に残る。
『夢を高く持て』
『自らと闘え』
『失敗を恐れるな』
夢を高く持て!(現代の若者の大半はハードルを出来るだけ低くしてそれを乗り越えて満足した気になっている。いや、目標さえも持たずに無気力な日々を暮らしている若者も数多い。子供の頃に見たあの「夢」をもう一度思い出して欲しい。そして、その燃えたぎる情熱を燃料にして今しかない時間を駆け抜けて頂きたい!!)
マキノは我に帰った。自分の部屋を見渡す。混沌とした空間。壁に貼ってある×××××のポスターがマユズミの血で汚れているのが目に入った。しかし、そんな状況は関係なかった。彼は自分の体に少しずつ精気がみなぎるのを感じた。
自らと闘え!(人生に於いての本当の敵は目の前のライバルでもましてや明日の雨予報でもない。それは自分自身なのだ。自らを甘やかすことなく日頃の鍛錬に励み更に高みを目指す。その過程でも様々な誘惑に出くわすことだろう。しかし、それらの誘惑に打ち勝つことこそが人生の本質だと断言してもいい。自らを極限にまで追い詰めても成果は僅かかも知れない。だがその少しの成果が花を咲かす時、それは未だ見たことのない程の美麗な輝きを放つだろう!!)
それは天啓のようにマキノの頭に響き渡る。口の中で小さく「自らと闘え」と呟いてみる。途端に激しい電流が彼の脊髄を上から貫いて行く。その眼差しはどこまでも力強い。
失敗を恐れるな!(確かに目指す所を高く設定すればしくじる可能性もそれに連れて高くなる。でもそれを恐れていては駄目だ。失敗の積み重ねによりかの偉人たちも大きく羽ばたいて行った。何度も転べ。何度も這いつくばれ。その時、「諦めない」人間こそ本当の成長の意味を知る!!)
マキノにはもう怖いものは何もなかった。威風堂々と、彼は力強い視線をゆっくりとマユズミに向けた。
散らばるCDケース。破ける襖。宙を舞うスーパーの安売り広告。倒れた水槽から逃げ出す亀。意味不明に鳴り続ける目覚まし時計。その中で相変わらず、マユズミは収集不可能なほどに出血して、部屋の中のものを(ちゃぶ台とか)、戦車のように打ち倒しながら、雄叫びを上げている。惨劇の館と呼ぶに相応しい凄惨な光景が広がっていた。マキノは今の一連の回想がそして一連の教訓が、この状況とは一切関係のなかったことに気が付いた。
マユズミが洗濯したての靴下を巻き込みながら転げ回っている。 fin

11番目

この前ある映画のスリーを観に行ってんけど。前日にツーを観直して尚且つ映画館が子供に占領されるのを考慮してインターネットで席を確保するという徹底ぶり。当日こどもも多かったけどカップルもいっぱいおった。
大体からして映画館をデートに使うってよくあるけどあれもようわからんけどな。昔、「殺し屋1」をひとりで観に行った時にカップルが来てて、絶対、
男 今度、殺し屋1って映画観に行こうや。おもろそうやで
女 なにそれーなんかすごいタイトルやね。
男 浅野忠信出るねんで、おもしろそじゃね?
女 浅野さん好きー(キャッキャ)
みたいな会話が多分あって来たんやと思うけどもっと内容調べてからこいよ。おまえの大好きな浅野さん口裂けてましたやん。終わったとき女あまりのグロさにドン引きして険悪なムードにさえなってたからな。
いや、そら女の子と映画行くことはあるで?あるけど大体からして『デートに使える映画』ってのがよくわからんし、映画館のあとはカフェーで観た作品について語らい合うっていうその行為もなんか気持ち悪い。まー上映時間3時間10分の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を映画に疎い女の子と観に行くおれもひとのことゆえんけどな!女終わったあとグッタリしてたもんな。
あと、思ったんがあのカップルのポップコーン購入率。なんなんあれ。キャラメル味か塩味か知らんけど。いや、別にすっと買えるんやったらええんやで?違うねん。土曜やからかほんま売店もすごい行列やねん。みんな並んどんねん。もうええやんポップコーンとか(笑)。なっがい長い行列のトップで実はポップコーン売ってましてん(照)なんてことがこの世にあってええんか??なんか知らんけど調子のって買ってまうんやろな。
どーせ男のほうが、
ポップコーンでも食べながらこの映画観ようぜい
みたいにゆーんやろ?どーせ、おれらも弾けようぜ!!みたいな意味も込めとんねやろ?なんやねんそれ。なんか簡単にポップコーン買ってしまうそのノリがなんか許されへん。んな好きでもないくせに。なんか「わーデート楽しい!^^^^^」てのをなんの創意工夫もなくあまりにも短絡的に表現されてる気がして辟易するんやろな。
しかも、おれが観に行った回が18時15分からやってんけどてかもう夕飯の時間やんか?え、なになにおまえらあほみたいな顔してリスみたいにポップコーン頬張ってるけど、晩ごはんは?それが今日のディナーなの?っておれはもうずっとそのことばっか気になってた。観てから晩飯も食べるんやろ?でもそれにしてもなんか知らんけどめっちゃ大きいサイズのポップコーンやで?ご飯そんな食えんやんか。食べるもんも限られてくるやん。おうどんか?おうどんくらいしかないわな。ちゃんと野菜とかも採ってるんかなとかさ。
お兄さんはそんなことばかり心配になってしまいます。 fin