24番目

他の地域であんまりお好み焼きって食べへんから知らんけど、結構こっちでは焼ける前のタネだけ持ってきてあとはご自分で焼いてくださいみたいなところあってさ。もんじゃ焼きやったらわかるで？あれは焼きながら食べるもんやもんな。でもお好み焼き。あれはどういうことなん？どういう趣旨であれをやってるんか知らんけどそんなん絶対店員さんが焼いたほうがうまいに決まってるやん？それをなんかタネだけ持ってこられてさ。んー要は食べるだけやったらつまらんやろーから焼く工程も楽しんでねってことなん？お好みを焼くという行為をひとつのエンターテインメントと位置づけてるってことなんかな。ほんま解せん。ちゃうやん、それを遊園地で例えるならば観覧車に乗る人じゃなくて、入口でチケットもぎる人なんやと思うねんけど。なんかそれをうまくすり替えられてる感じがする。いや、それやったらその分お安くしますからご自分で焼いてくださいやったら値段がどうであれ納得する。でもなんかちゃうねんな、なんやったらほんまはそらうちら店員が焼いたほうが美味い。美味いけどそこまであんたらがゆーなら、そんだけゆーなら焼かせてあげまっせ！くらいの感じやんか。おれ一切なんもゆーてへんしな。

こんなもんおれはまだええけど初々しいカップルやったらほんまシャレならんと思う。なんか高校卒業したてでバイト先とかで知り合って初デートで適当になんか映画観てご飯食べよっかーゆーてこんなお好み焼き屋さん入ってきてみ。慣れてる仲やったらまだなんとでもなるけどこんなもんいきなりの試練やんか？多分、タネ持ってこられた時点で女のほうはもうノリノリやし、でもこのノリノリってのも私が焼きたーいっていうノリノリとは限らんわけで、そのノリノリはオーディエンスとしてのノリノリ感かも知れへん、ほんでもしそうやったら、ここでのミスがその女との今後に大きく作用することは明白であり、だからといってこの時点で店員さんに「焼いて持って来てください」って言うのは戦わずして負けを意味するということやし、しかもこれよく考えたら2人分やから最低2枚は焼かなあかんからなーリスクも2倍になるからなー、そのくせ、よしんばうまく焼けたとしてもそれは店の手柄になるわけやん。わ、お店の生地がおいしーね^^ってなる。こんなハイリスクノーリターンな状況がかつてあったやろうか。ほんでここでもし焼くの失敗したとしてもかわいらしいワンピース着てるような垂れ目の優しい女の子やったらきゃっきゃ笑って許してくれるかも知れへんけど世の中いろいろな子がおるわけで泉ピン子みたいな女やったらもうこれ絶対絶命やん。一緒にお好み焼き屋に行く女が泉ピン子ではない保障はどこにもないわけやんか。ミスしようもんなら「もう、あんた箸もコテも使わずに食べなさいよ」やんか？だから言いにくいかも知れんけど、ほんまタネ持ってこられた時点で勇気を出してきちんと「ノー」と言いたい。或いは店員及び泉ピン子さんにインパクトを与えたいなら返品。　　　fin