Scxxxers is...

散文その他。全て読み切りです。

4番目

小学校3年の時に同じクラスの山添が朝の会で教師が教壇で話をしているにも関わらずひとりふざけて前の席の女子にちょっかいを出したり、あほみたいに騒いだりしてたら教師の逆鱗に触れてしまい立たされてめちゃくちゃ怒られていたことを作文の時間に原稿用紙に克明かつ緻密そして無駄な心理描写の一切を省いた文章を洟垂らしながらほぼひらがなで綴ったら、神戸市の児童文集「はぐるま」に入選してしまい、でもしかし教師の検閲に依って山添君→Y君と修正されてリアリティに欠けてしまった。まあそれで個人のプライバシーは守られたわけやけど、山添も山添であんなこと書かれてるわけやから
おれめちゃくちゃはずかしいやんけ(怒)この先世間様にどう顔合わせしたらええねや!
とかゆーて怒るんやったらまだわかるで?そうだろうそうだろう恥ずかしいだろうおれもまさか思いつきだけで書いた駄文がこんなことになるとは思わなかった。申し訳ない。いや、わたしは決して君を告発したいわけではないのだ悪気はないのだよこれも一種の愛情表現だと考えて頂いて結構なんだよ。ははは。とか言い訳も考えてたのに、
山添あほやから、
ちょっと聞ーてや!おれ神戸市の本に載ってん(ニカッ)
なんて、あろうことか自慢げに自分の母親に話したらしく文集を見たやつの母親は激怒、ぶち切れておれの家に電話してきてうちの母親に
ひとんちの子供の不手際ネタにして文集入選するとかあんたんとこのガキどーゆー了見しとんねんあんたんとこどんな育て方してんねんえ!
まあもう随分昔の話なので記憶は曖昧こんな言い回しではなかったとは思うがきっとこういったニュアンスのことを言っていたのだろう。
うちの母親の言い分としては、
書いたのは確かにうちの子だが作文を見た感じ別に他人の失態をあげつらい嘲笑うような悪意はないと判断できる。だからこそ入選したのだし大体、選んだのは教師だしその教師も最低限の人権に配慮して名前もイニシャルに替えて誰だかわからないはずだ。わたしや息子が糾弾される謂われはない。
ということを始終一巻して主張して一歩も譲らない。おれはそのやりとりを聞きながら名前をイニシャルに替えられたことは不本意だという思い(おれの作品を改竄されたという確固たる事実!)は捨てきれないながらも、電話の間中、耳をそばだてながらえらいことしてもたと顔面蒼白で絶望感にブルブルと震えながら部屋の隅っこで丸まっていたのをよく覚えている。
電話が終わってからも暫くぶるぶるは止まらなかったんだっけ。 fin